こんばんは。
家族写真家の佐々木宏和です。
49歳にしてついに、「ももひき」のありがたさが身に沁みます。笑
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拝啓、初めて海を見た君へ
去年の夏の終わり、台風が過ぎた日に君の写真を撮りに海へ出かけたね。
台風のうねりの余波がまだ残っていて、波は大きかったけどとても綺麗な空が広がっていたね。
そこで僕は君と初めて会ったんだ。
君のパパは以前から僕の写真を気に入ってくれていて、この日をとても楽しみにしてたみたいだったよ。
パパの「娘のためにいい写真を残したい」っていう気持ちがとても伝わっていたんだ。
海までは少し遠いので、着いたとき君はすっかり寝てしまっていたね。
ママが君を車から抱き上げ、君はゆっくりと目を覚ました。
初めて見る海はどうだった?
いきなり大きな海が目の前に広がってたから、君はびっくりしてたね。
そして大きな波の音が怖くてママにしがみついてたよ。
台風の後の海は、君には少し激し過ぎだったね。
すっかり目が覚めたはずなのに、全くママの抱っこから降りようとしない君。
パパの期待とは裏腹に、君は波の音に怯えママの胸にうずくまるばかりだったね。
その様子を僕は少し離れたところか見てたんだ。
海から目を背ける君に優しく話しかけるママ。
その周りで君を砂遊びに誘おうとするパパ。
二人とも一生懸命に君をあやしていたよ。
でもその様子の中で、僕は素敵なものを見つけたんだ。
パパは笑顔ではしゃぐ君の写真を想像してたんだろうけど、ママの両脇から見える君のサンダルがとても可愛かったんだ。
そしてママは君が降りてくれなくて困っていたけど、その背中はとても幸せそうだったんだ。
パパには悪いけど、二人だけで撮ってみたよ。
これこそ初めての海の記念だね。
海が怖くてママにしがみつくのはこの時しか撮れない写真だよ。
何よりママの背中が優しく幸せそうで、僕は気に入っているんだ。
パパはなんて思うかな?
君が大人になってママになった時、この写真をまた見て欲しいです。
その時、君はどう思うのかな?
敬具
_____家族写真家 佐々木宏和