奇跡的に家族の休みが合ったこの日、
心配してた雨も降らず、撮影をすることができた。
リゾート風の服でお洒落してきた二人のお姉ちゃんは、
もうすっかり落ち着いてしまった。
以前にこの家族を海で撮った時は、まだ弟が生まれていなかった。
13年ぶりの海の撮影だ。
服が濡れるのを気にしながら、波に足をつける二人のお姉ちゃん。
対照的にパンツが波に浸かって、はしゃぐ弟。
すると、弟がお姉ちゃんたちに水しぶきをかけた。
そしてさらに、大きな波がお姉ちゃんたちを濡らした。
「着替えもあるから濡れてもいいよ」とお母さんが言う。
「よし、3人で競争しよう」
「なるべく水しぶきが上がるように走ってね」
僕の合図とともに3人は駆け出した。
水しぶきを上げて走るお姉ちゃんたちの顔が、
無垢な顔に変わった。
そして、お姉ちゃんたちのリゾート風の服はびしょ濡れになり、
すっかり子供の服に変わってしまった。
浜辺を歩きながら、以前に海で撮った時の話をした。
僕 「〇〇ちゃん、まだ小さかったから半ベソかいてたよね」
〇〇ちゃん 「えーなんで、なんで?」
僕 「そんなのこっちが聞きたいよ」
〇〇ちゃんも、お母さんも、笑っている。
撮影後のそんなひと時が、とても嬉しかった。
_____家族写真家 佐々木宏和