我が家の長男のプロフィール写真。
彼は声楽を学ぶために電車とバスを乗り継ぎ、片道2時間の高校まで通っている。
息子はルーティーンの男である。
学校から帰ると、ピアノと声楽の自主練。
そして、夕食 → 風呂 → 21時までに就寝。
朝は5時に起床。
朝風呂に入り、必ずご飯と、味噌汁と、辛口の塩鮭を食べる。
さらに塩鮭の腹の部分は、必ずお茶漬けにするという徹底ぶりだ。
(しかし最近、塩鮭がししゃもに変わったらしいのだ。
こういったマイナーチェンジはたまにある)
その後、快便。
6時40分に家を出る。
これを毎日繰り返し、このルーティーンを過ごしていれば機嫌がいいし、
何かに邪魔されると、たちまち不機嫌になる。
実に解りやすい。
家では常に大音量で歌っている。
息子が同じ部屋にいると何も聞こえないので、妻との会話も中断してしまう。
真横で歌われると脳に響き、疲れた頭には、かなりキツイ。
だけど彼の歌声が、
家庭のムードメーカーになっていることに間違いわない。
今日の授業で自分のポスターを作ることになり、写真が必要になったようだ。
そして急遽、昨日撮影したのだ。
僕はすっかり冬服で撮ると思っていたのに、
帰ってきた息子は、ヨレヨレで汗ばんだ夏服。
写欲が萎えるのを抑えながら、別のプランを考えた。
普段写真を撮らせない息子だが、昨日ばかりは腹をくくったのか、
こちらのリクエストに素直に応えた。
「歌ってるとこ撮るよ」僕が言うと、
彼は一瞬ためらったが、すぐに歌う顔に変わった。
アトリエに息子の歌声が響き渡る。
直立不動が面白くなくて、サビのところで腕を大きく開くように注文した。
曲のクライマックス、息子は自分なりのアクションで歌ってくれた。
昨日は撮影で遅くなり、風呂も入らず寝てしまった息子だが、
今朝の彼はいつものようにルーティーンをこなし、学校に行った。
なんでもない日の繰り返しが、
幸せだと思わせてくれる息子のルーティーン。
_____家族写真家 佐々木宏和