無邪気だった頃の七五三、入園、入学の撮影を過ぎ、
やがて迎えた思春期の壁。
お母さんはずっと撮影のチャンスを探していました。
だけど子供の成長とともに忙しくなる生活。
あっという間に訪れた小学校の卒業。
そして、
この時だけは逃さないように届いた、お母さんからのメール。
『ご無沙汰してます。
・・・・・
やっと、こうして連絡をさせて頂いています。』
今までずっと家族写真を撮りたかったこと。
やっぱり、この時を思い出に残したいこと。
そんな嬉しいメールをいただいて撮影に至ったのです。
お決まりの卒業証書。
寄せ書きされた、ボロボロのランドセル。
そして、もう小さくなってしまった体操服。
ご無沙汰してる間の家族の日々が染み付いているようでした。
こんな時だからしょうがないと観念したのか、
やっと撮影に来てくれた少年は、
まだまだ無邪気なあの頃の笑顔を見せてくれました。
とうとうチャンスをものにしたお母さん。
撮影を終えた体操服をたたみながら
「これでやっと捨てれます〜」なんて言っていたけど、
きっと捨てられずに、いつまでもタンスの中にしまい続けると僕は思う。
_____家族写真家 佐々木宏和