僕は先日で50歳になりました。
でも、初めて感じる複雑な気持ち。
今まで「なりたくない!」なんて歳はなかったけど、
50歳にはなりたくなかった。
今までの人生より、多分短いであろうこれからの人生。
そう思うと、輝きを感じなくなってしまっていたのです。
そして50歳になったある日、いつものようにサーフィンに出かけた。
お気に入りのポイントで沖に出ると、その日はいつもと違う出来事が待ていました。
そこで波待ちしていたのは二人のレジェンド。
一人は67歳。
いい波と友人を求めて全国を放浪中のサーファー。
もう一人は75歳。
古くから日本のサーフィン界をリードしてきたサーフショップのオーナー。
こんなところで一緒にサーフィンが出来るとは、憧れの二人から見れば僕などまだまだ若造なのだ。
挨拶を交わした後、波に乗るたびに二人は声をかけてくれた。
「なかなかやるね〜」
「たいしたもんだ〜」
そんな言葉は久しく耳にしていなかったので、なんだか心の底から嬉しさがこみ上げてくる。
歳をとるたびにそれなりの立場になり、僕にこんなことを言ってくれる人はどこにもいなかったのだ。
レジェンド達はこう教えてくれた。
「波に乗るときは後ろを気にしすぎるな」
「乗ったら足元を見ずに、遠くを見ろ」
「最後まで粘って乗り続けろ」
50歳になり、久しぶりに人から教わった気がする。
そして二人が教えてくれたことは、50歳になった僕に輝きを取り戻してくれた。
「過去を気にするな」
「未来を見ろ」
「自分を信じ続けろ」
僕にはこんな風に聞こえたのだ。
単なる偶然かもしれないけど、憧れの二人が教えてくれたことは、
僕にとても力強い言葉だった。
「まだまだやれそうだなぁ」
強い日差しに照らされたレジェンド達の背中を見ながら、僕はそんなことを思っていた。
先輩、どうもありがとう。
これからの50代も楽しみになってきました。
三人で波に乗る時間は、それはそれは夢のようでした。
_____家族写真家 佐々木宏和