あまりにも近くて当たり前のものだから、
たまにはこうして見つめてほしい。
愛しいことより、大変なことばかり感じてしまうから、
たまにはこうして見つめてほしい。
せっかく写真を撮りに来てくれたから、
心に響くものを残したい。
僕はそんなふうに構図を作る。
僕の中には家族写真の雛形はなくて、
目の前の家族のイメージだけ。
観衆のノリに合わせて奏でる即興演奏のようなもの。
最初はゆっくりと手探りで、徐々にヒートアップ。
撮影しながら閃いたものをかたちにしていく。
毎年来てくれる家族。
撮るまではどんなふうになるのか、僕でもわからない。
成長した子供たちや、両親の思い、
今年の家族の様子がかたちを作ってくれる。
そして、今年のかたちはこんな感じだったんだと、
終わってから気がつく。
パパの笑顔とママの眼差しが好きだ。
撮りながらたどり着いた今年の家族写真。
決めていたら、たどり着けない。
何かの真似では、つまらない。
僕の撮影は、家族に合わせた即興演奏。
_____家族写真家 佐々木宏和