撮影前にお母さんからのメール。
「靴は赤のスニーカーでもいいでしょうか?」
自宅のテレビの前で、
赤のスニーカーを履いて、
スーツ姿でキヲツケをする男の子の画像。
可愛くて思わず笑ってしまった。
隣でお父さんが腕枕をしてテレビを見てる。
入学式を前に緊張した顔の男の子。
準備に孤軍奮闘するお母さん。
なんともほのぼのとした平和な様子が写る。
「あぁ、こんな幸せな場所からみんな撮影に来てくれるんだなぁ」
画像を送ってくれたことが、何かとても嬉しい。
僕は迷わず赤のスニーカーをすすめた。
そして、
男の子らしい黒のランドセルに、赤いスニーカーが映える。
色のアクセントができて、やっぱりよく撮れました。
さすがお母さん、コーディネートはバッチリでしたよ。
ちょっと違う赤いスニーカーが、男の子の個性を引き出してくれて、
そしたら僕は、アトリエに桜を咲かせたくなっちゃった。
それで色々やっていたら、朝になってしまったよ。
でも、おかげでアトリエに桜が咲いた。
みんな喜ぶかな?
きっと喜ぶだろう。
小学校の桜はもう散ってしまったから、
ちょっと手間がかかるけど、
花咲か爺さんみたいに、あの一年生にも桜を咲かせよう。
幸せな場所から来た赤いスニーカーのおかげだよ。
_____家族写真家 佐々木宏和