その3 「安らぎ」
僕はいつでも、「家族らしく」、「ささやかな幸せ」を撮りたいと思っています。
だから家族写真を撮るときには断然、普段着で撮ることをオススメしています。
お気に入りのシャツ、トレードマークのジーンズ、学制服や、いつも練習してるユニフォームなど、こんな感じです。
普段着には「らしさ」がたくさん詰まっているから、普段着の家族写真は何よりも、あなたらしくて、家族らしいからです。
ありふれたなんでもない日常。
でも、後になってそのことを振り返った時、それが幸せだったなあって思うことってありますよね。
毎日学校に行ける。
みんなで食事ができる。
家族のために働ける。
「おはよう」
「おやすみ」
「いってらっしゃい」
「おかえり」
そんな日常にはささやかな幸せが宿っています。
かしこまらず普段着の家族写真、あなたらしく家族らしい写真には
そのささやかな幸せが写ります。
そんな家族写真にはその時の幸せがいつまでも残っているはずです。
そして、家族が成長して幸せのかたちが変わっていく時、過ぎた幸せを家族写真で振り返り、懐かしく「安らぎ」をあなたに与えてくれます。
二人の息子が小さな時から、毎年家族写真を撮っている家族がいます。
今では二人の息子は社会人と大学生になり家族とは別々に暮らしています。
でも、静岡と和歌山から撮影だけのために帰って来てくれるのです。
今年もいつもの撮影を終え、そのままそれぞれの家に帰って行きました。
「忙しいのにありがとね」と僕が言うと、
「いえいえ。家族写真っいいもんだなあってこの歳になってわかりました。」
って、嬉しいことを言ってくれたお兄ちゃん。
働き始めで頑張ってるお兄ちゃんにとって、家族写真はきっと「安らぎ」なんだなあと思うんです。
二人の息子たちも大人になりました。
そして今までの家族写真を見たときに、当たり前だった日常がささやかな幸せだったんだと気付いたようです。
その時の思い出に、懐かしい「安らぎ」を感じてくれていると思うんです。
家族写真が伝える「安らぎ」。
あなたも感じてみませんか?
最後に、こんな詩を。
「安らぎ」
ウトウトしていると聞こえてくる、
包丁がまな板を叩く音。
ママの足音、
お兄ちゃんの目覚ましのベル、
まだ隣で寝ている弟の寝息。
そして、
寒い部屋に味噌汁のいい香り。
そんな記憶をやんちゃな次男坊が
懐かしむのはいつになるだろう。
僕はそんなことを思いながら、
家族の日常に宿るささやかな幸せを
撮っています。