こんばんは。
家族写真家の佐々木宏和です。
毎日寒い日が続きますね。
自宅の仕事部屋には灯油ストーブの赤い火が揺れています。
隣の部屋で次男がyoutubeを見ながらゲラゲラと笑っています。笑
拝啓、愛犬ハロへ
もう10年以上も前に君は新婚夫婦に連れられ、初めてアトリエに来てくれたね。
まだ君は小さく、ご主人に抱えられ小刻みに震えていました。
そして、二人きりの家族に迎えられた君はとても愛されていたね。
最初の頃の撮影は、君は慣れない場所で落ち着きがなく、怯えているようでした。
でもそんな君の様子が、夫婦の表情を和らげてくれたんだよ。
君はずっと家族写真を素敵なものにしてくれました。
まもなく、待望の男の子が生まれ、家族は幸せいっぱいだったね。
僕は夫婦が成人式の時から撮らせてもらっているから、君たちが幸せな家族になっていくのを嬉しい気持ちで見ていたんだ。
そして、家族の表情を和らげる君の存在はずっと続いていたね。
君の体の毛がすっかり白くなって、「もう一緒に撮れないかもしれない」って聞いてからも、君は元気に来てくれたね。
もうすっかり撮影にも慣れて、僕のことを覚えてくれた気がしたよ。
君は本当に家族の一員で、僕はいつも4人家族を撮っている感覚だったんだ。
でも2016年、撮影に来てくれたのは3人だけだった。
君は逝ってしまったよ。
奥さんは今までの撮影のことを思い出して、泣きながら僕に報告してくれたんだ。
3人で撮影しても君の場所が埋まらず、寂しさを感じる撮影になってしまったよ。
後日、写真の受け取りに来てくれた奥さんが涙ぐみながら、
「今まであの子を可愛く撮ってくれてありがとうございました。」
と言って、深々と頭を下げてくれたんだ。
僕は嬉しかったよ。
この仕事をしててよかったなあって思ったよ。
僕の方こそ、ありがとう。
2015年が、4人で撮る最後の家族写真になってしまったね。
そのことをわかっていたかのように、君は僕の方を振り向いてくれたね。
この様子が、僕にお別れを告げた気がして、なんだか切ないです。
・・・
でも2017年は、3人の元気な家族写真を撮ってみせるよ。
敬具
_____家族写真家 佐々木宏和